Miyakawa Blog

ウェブディレクターが日々のことを綴るブログ

九谷焼の考察

九谷焼の考察 参考資料:

  • 伝統工芸品シリーズ 九谷焼 正和 久佳
  • 加賀の工芸 介州 高橋 勇
  • 人間国宝 徳田八十吉
  • 国際色絵陶磁器コンペティション'97 九谷
  • 工芸未来派

九谷焼との出会い

私の出身は石川県金沢市です。 まさに九谷焼の産地です。 出身地であるにもかかわらず、あまりよく知っていません。 今回、縁があってモノづくりを通じて九谷焼と関わることになりそうなので予習するために私立図書館で本を何冊か借りてきました。 自分の知識を整理するためにブログに記します。 あくまで独学ですので、間違いや訂正があれば教えてください。 また、資料が一番新しいモノでも 2001 年のモノなので状況は変わっているかもしれません。

伝統工芸品とは

伝統工芸品とは昭和 49 年 5 月 25 日(私が生まれる 1 年前です)に制定された「伝統工芸品産業の振興に関する法律」が元になっているそうです。

伝統的工芸品産業の振興に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S49/S49HO057.htmlより 目的は「この法律は、一定の地域で主として伝統的な技術又は技法等を用いて製造される伝統的工芸品が、民衆の生活の中ではぐくまれ受け継がれてきたこと及び将来もそれが存在し続ける基盤があることにかんがみ、このような伝統的工芸品の産業の振興を図り、もつて国民の生活に豊かさと潤いを与えるとともに地域経済の発展に寄与し、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」とされています。

九谷焼が伝統工芸品として指定されたのは、昭和 50 年 5 月 10 日とのことです。 伝統工芸品産業が抱える課題はどこの産業でも似ていると思われますが、主に後継者不足、商品力強化、販売経路拡大の3つの課題を持っていると言われています。 九谷焼もその例には漏れていないのが現状のようです。

そもそも九谷焼とは?

はい、まずここから私は学びました。 「九谷焼を知っているか?」と聞かれれば、「知っています」と答えますが、「具体的に説明して欲しい」と言われたらそれまでの私は答えることはできなかったです。 せいぜい「石川の工芸品で陶器の種類で壷やお皿など・・・・」というわけのわからない説明していたかもしれません。 そもそも正確には陶器は陶器でも、陶磁器なんですよね。 いろいろ調べてみると、陶器、磁器、陶磁器、炻器という言葉が出てきますが違いがそれぞれあるんですよね。

歴史からみる、九谷焼と古九谷の違いは

九谷焼を調べるとまず最初に出てくるのが歴史の特徴でした。 九谷焼は一度歴史の表舞台から消えているのです。 1 つは寛永 16 年(1639 年)、加賀藩3代藩主前田利常の三男俊晴を初代とする支藩大聖寺藩の領内区谷村で創業された“九谷古窯(九谷焼の由来)”を起源とする大聖寺藩領内の諸窯の歴史です。いわゆる古九谷といわれる歴史ですが、僅か 40 年で消滅しています。 もう 1 つは九谷焼と呼ばれている、江戸時代末期の文化 4 年(1807 年)、現在の金沢市山の上町に金沢町会所の肝いりで創業された春日山窯と、現在の小松市若杉町で創業されていた藩窯若杉窯を中心にした加賀藩領内諸釜の歴史です。 九谷焼の起源となる陶窯は九谷古窯(くたにこよう)ですが、石川県の陶磁器産業としての産業形態が形成されたのは、江戸時代末期〜明治時代初頭にかけてのことです。そして、この時期に技術的に他産地の追随を許さない九谷焼陶法が成立したとのことです。

九谷焼の製作工程

大雑把に工程を書くと、「坏土工程(はいどこうてい)」「素地工程」「染付工程」「上絵工程」の 4 段階になります。 それぞれがどんな工程かまとめると次の通りになります。

坏土工程(はいどこうてい)
轆轤(ろくろ)で回したりこねたりしている粘土をテレビで見た事があると思いますが、それが坏土です。陶石や陶土を粉砕して、水を加えて撹拌を繰り返したりして、粒子が丸くなるまで繰り返します。最後に坏土にして作業が完了しますが、ここまでの形にするまででも非常に手間がかかっているようです。今は電気を使って作業をしていますが、昔は全てが手作業ですからなおさらですね。
素地工程
出来上がった坏土(はいど)から形を作る成型作業から始まり、乾燥させ素焼きの工程までおこないます。成型とは幾つかの種類があり、一番有名な成型方法は轆轤(ろくろ)を回しながら形を整える方法でしょう。それ以外にも押し型成型といい型に坏土を押し付けて形を整える方法や、鋳込み成形、型引き成型、手捻り成型、タタラ成形、紐つくり成型などいろいろな成型があります。形が整ったら乾燥させ、素焼きをおこない染付け工程に入ります。
染付工程
染付工程には素焼きされた素地と呉須(ごす)が必要になります。呉須(ごす)とは九谷焼の特徴の1つである絵の輪郭線を描くときに利用する絵の具です。下絵付けが施されて窯元に運ばれ、施釉(せゆう。素地の表面を透明なガラス質で覆うために釉薬で施す作業のこと)され、本窯で焼く付けると青い色になる特徴があります。藍九谷と呼ばれる製品の場合は、ここまでの作業で完成品として出荷されます。
上絵工程
絵の具には和絵具と洋絵具を使うことになるそうです。 和絵具は五彩と呼ばれる「緑、紺(紺青)、紫、黄、赤」の5色を使いますが、江戸時代には中間色も使われるようになっていたので必ずしもこだわる必要はないようです。白玉や珪石など様々な素材を比率を変えて混ぜ合わせることで色が変わるようです。 洋絵具も用いますが、金彩を加えて“彩色金襴手”と称される技法を用いて描くようです。仕上げまでの工程の中で 3 回から 4 回窯に入り焼かれるそうです。

私が特に感じたこと

  1. 工程で分業化されていることから、各作家さんたちが一同に介してワークショップを開けば何か新しいモノができるんじゃない?という期待感がでました(たぶん、考えがあまいですけど)。
  2. 成型部分でも様々な作り方があるので、いろんな視点から過去のやり方にとらわれない新しい成型方法があってもいいのではないかなと思いました。
  3. 坏土を水に溶かして作る鋳込み成型や、タタラ成型という既存の形に坏土を上から重ねて叩きながら成型する手法もアイディアがあれば新しいことができそうな気がしています。
  4. 絵などもフリーハンドで書く事もあれば、型を使い書く事もあると読んだので新しいモノができる可能性があるなと思っています。
  5. 絵具などは九谷焼の特徴の1つなので、簡単にかえる事はできないかもしれませんが、既成概念にとらわれない新しい取り組みがあってもいいかと思いました。思い切ってプロジェクションマッピングしてみるとかw
  6. 江戸末期から現代にかけて様々な技術、技能が確立され、かつ変化を起こしてきているのだから古いやり方に捕われる必要もないという魅力が九谷焼にはあると感じました。