読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Miyakawa Blog

ウェブディレクターが日々のことを綴るブログ

3Dプリンタはモノ作りの流れを変えるか!?

昨日、eAT KANAZAWA 2012 OPEN COLLEGE vol.3の「金沢モノ作り 職人の道具箱としての3Dプリンタ」というイベントに参加するため21世紀美術館に行ってきました。 参加者は100人以上はいたと思います。

[test][f:id:miyakawa244:20121219111349j:plain:]

3Dプリンタって何?

3Dプリンタという言葉は最近よく耳にするようになっていますよね。 何となくの私の3Dプリンンタのイメージは「何層も出力して、重ねていって、立体物を作り上げる」という漠然としたイメージしかありませんでした。

ここで3Dプリンタの仕組みを簡単に説明します。私も昨日、聞いてきたばかりなのであくまでアウトラインの説明になります。

  1. 3Dデータを用意する
  2. 3Dプリンタに出力指示を出す
  3. 層を積み重ねるように毎時1cm/hのペースで出力する機械だとすると・・・
  4. 10cmのモノで10時間で出力が完了する。

3番の部分が一番、肝心なわけだけど、「プラスチック樹脂」に対して特殊なレーザー光線を当てながら固める形式のものや、樹脂を溶かしながら必要部分を固めて残していくもの、粉末にレーザーを当てて固めていく形式のものなど出力形式は様々なようです。

インクジェットプリンタがインクを吹き付けたり、レーザプリンタがレーザーで粉末を焼き付けて印刷したり、熱転写プリンタが熱で転写しながら印刷していくのと原理はにていますね(←強引だったらゴメンナサイ)

イメージ的には何層も重ねて仕上がるパイ生地やミルククレープのように徐々に形になるそうです。

「金沢モノ作り 職人の道具箱としての3Dプリンタ」のテーマについて

さて、昨日の eAT KANAZAWA 2012 OPEN COLLEGE vol.3 ではクリエイティブディレクタで企業家の宮田人司さんが司会進行をされていました。 テーマは「金沢モノ作り 職人の道具箱としての3Dプリンタ」だったわけですが、主要な話は2つだった気がします。

椅子作りを例えた、モノ作りと3Dプリンタの共存と進化

1つ目は建築家でデザイナの鄭秀和(ていしゅうわ)さんが「椅子作り」を例に3Dプリンタの可能性を話されていました。

ニト○にあるような安物のイスではなくて、一流のホテルや空間に置かれるようなBtoB向けの高価な椅子の作り方です。 鄭秀和(ていしゅうわ)さんの話をザックリ要約すると椅子作りの手順はこんな感じだったと思います。

  1. 椅子のイラストを何度も書きなぐり続け、その中からアイディアを出す
  2. いきなりフルサイズの椅子はつくれないのでプロトタイプが必要
  3. 5分の1サイズぐらいの椅子のプロトタイプを用意する(私は詳しくないですが、プロトタイプを削り出す特殊な樹脂があるらしい)
  4. 5分の1サイズのプロトタイプをお付き合いのある職人に持っていき打合せを重ねる
  5. 3〜4を繰り返して、最後には椅子を作り上げる

このとき、3番が一番たいへんだそうです。鄭秀和さんが考える「曲線や、風合い」といった抽象的なイメージを、出来上がったプロトタイプと一致させるために何度も樹脂を削り直して、何体ものプロトタイプをつくるらしいです。

もし、このプロトタイプを事前にデジタル化してあって、3Dプリンタで出力することができたらどうでしょうか? パソコンのモニターの中で削り直せば、手間はかなり減りそうですよね?

▼会場にあった3Dデータを専用端末で手軽に加工できる装置。私も触ってみました。削っている感じが伝わってきて驚きました。 f:id:miyakawa244:20121219202310j:plain

従来だと人が何日間、あるいは何週間と時間を掛けていたプロトタイプ作りをデジタルを基盤とし整え、3Dプリントという形で触れるモノへと昇華させることができるそうです。 究極の使い方の事例ですね。 まだ、現存しない製品のイメージをアナログからデジタル化し、実体化できるそれが3Dプリンタのメリットの1つではないでしょうか。

3Dコンサルタントが話す、3Dプリンタの実用性と未来の姿

派手なサブタイトルをつけましたが、これは私が感じたままつけてあるタイトルです。

さて、2つ目は今回のもう1人のメインゲストとして話していただいた3Dコンサルタントで株式会社ケイズデザインラボの代表取締役の原雄司(はらゆうじ)さんの内容です。

f:id:miyakawa244:20121219111018j:plain

原さんは一早くから3Dプリンタを日本で導入され、最近テレビなどのメディアで話題になられている方です。

彼の話を簡単に要約するとこうなると思います。

  1. 3Dプリンタは可能性が大きい
  2. 3Dデータがあれば、同じものを何度でも出力できる
  3. 製造に金型が必要なものは3Dプリンタを利用することで製造期間を短縮してコストを削減できる事例もある(金型を作る前の造形をパソコン上で作り込める)
  4. 造形をモニタ上で簡単に修正できるのでクオリティが高いものが出力できる
  5. 3Dスキャナなどを使って瞬時に立体の3Dデータを読み取ることができる
  6. 人体の3Dデータであれば4方向から2台ずつのカメラを利用して、計8台を使い6秒で元データを読み取れる
  7. アメリカではステレオや家電製品の消耗品パーツなどの3Dデータが販売されており、必要な消耗品を消費者が自宅または指定された3Dプリンタ屋さんから入手できるようになっている
  8. 仏像などの重要文化財などの3Dデータを読み取って後世に伝えやすいようにする使い方もある
  9. タンパク質などを素材にして3Dプリントできれば人体で利用できる医療用パーツも作れる未来がくるかも。

もちろん、弱点や課題もあります。

  1. 例えば、人体を3Dスキャンで読み取った場合、3Dデータの著作権などは誰に帰属するのか?
  2. アニメやテレビゲームに出てくるキャラクタの3Dデータがあれば誰でもフィギュア作れてしまう
  3. 造形する樹脂の種類によっては融けやすいものもある(液状化ではなくて軟らかくなるとおっしゃってましたね)
  4. 出力時間は長い

とにかく刺激的な90分でした。

下の写真は主に3Dプリンタで出力されたもに着色されたもののパーツですが、革のような質感であったり、スマホケースの質感も編み物のような形をしていたりと3Dプリンタのクオリティが伺えます。

▼革製品のような質感の3Dプリント f:id:miyakawa244:20121219201722j:plain

▼iPhoneケースの3Dプリント例(正確には金型を作るためのひな形。白いのは着色前。色がついているのは着色例) f:id:miyakawa244:20121219201731j:plain

▼パーツの組み合わせ無しで、造形品を丸まる出力した歯車可動式の3Dプリント物。指で歯車を回せます。 f:id:miyakawa244:20121219111451j:plain

ただし、1つだけ注意しなくてはならないのは3Dプリンタはハードであって、ソフトではないということ。 ハードだけでは価値を生み出せません。 音楽というソフトがデジタル化されて、iPodやiPhoneというハードで気軽に聴ける時代になっても、「音楽というソフトを作り出す音楽家」が重要なように、モノを作れる職人がいて初めて3Dプリンタは活かされてくと鄭さんも原さんも宮田さんもおっしゃっていました。

昨日はとても刺激的な一夜でした。 初めてiPodを買い使い始めたころのようなワクワク感と同じくらいの感動を受けた気がします。 いろいろなモノ作りの流れやコミュニケーションの仕方が変化していくでしょうね。

ちなみに私だったら3Dプリンタで何を出力しようかな?