Miyakawa Blog

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京極夏彦著書「ルー=ガルー 忌避すべき狼」読書レビュー

ルー=ガルー

久しぶりに京極夏彦先生の著書をレビューしようと思います。

百鬼夜行シリーズは私の中で殿堂入りしており、「このシリーズを超える物怪(モノノケ)が絡む京極本は無い」と個人的に思っていました。 その考えは今でも代わっていません。 しかし、今回読んだライトノベルズの「ルー=ガルー」は「物怪」こそはでてきませんが、新しいジャンルとして今後期待できる京極本でした。

あらすじ

21世初頭のコミュニケーションシステム、教育制度、交通システム、警察などの制度が崩壊し、新制度に全て新しく生まれ変わっている近未来。 人々は他人とのリアルコンタクトを避け、コミュニケーションを「端末」とよばれる小型モニターで行います。コミュニケーション=データ交換となっているそんな近未来。 児童たちは「コミュニケーション研修」と呼ばれる場でのみ、同世代の子ども達と触れ合い、普段は他人と触れ合う機会はない。 児童たちの学習は「端末」を通じた自宅自習形式となり、日常において他人との接触はまずないのである(学校制度が無い未来)。 自分と他人の違い、価値観の違いに悩む子ども達。そして、その悩む子ども達のフォローをするためにあるのが、コミュニケーション研修となる。

そんなある日、舞台となる122地区付近で「連続殺人事件」が発生する。

他人との接触に関心がない児童たちは安全が確認できるまで、自宅待機で難を逃れるはずだったが、 コミュニケーション障害の葉月、葉月のあこがれの友人歩美、14歳でありながら海外の大学院博士課程を履修する天才少女美緒の3人がコンタクトを取り合うことで事件は意外な方向へ転がり始める。

書評

まだ、1回しか読んでいないので細かくは書評できませんので、簡単にだけ。 京極夏彦先生と言えば、私の中では「百鬼夜行シリーズ」を代表とした、物怪がでテーマにてくるモノがイメージでした。 それがこのシリーズ(ルー=ガルー2が最近発売されました)は舞台が近未来のSF小説です。 一見すると物怪は関係なさそうです。 でも、百鬼夜行シリーズから繋がるDNAが含まれています。 コンセプトがしっかりした作品は角度を変えてSF小説にしてもテーマを再利用できるということでしょうね。

舞台設定、時代設定はかなり大胆に設定されていますね。 現行の教育制度、警察制度、個人情報保護法、占いブームなどへのアンチテーゼと見受けられる近未来の舞台設定が気持ちがよかったです。

例えば、中禅寺秋彦百鬼夜行シリーズの主人公)が憑依しているんではないのかっていうぐらい、それぞれのキャラクタがそれぞれの立場で旧制度へのアンチテーゼを語るシーンがたくさんあります。

肝心のストーリーですが、14歳の児童たちが事件に巻き込まれ、謎の殺人者と戦って行くわけですが、最後の最後に百鬼夜行シリーズとの繋がりが見てとられます。 これは著作者である京極夏彦先生であるからこそ許されるワザですね。 横溝正史金田一耕助シリーズに多大な影響を受けている京極夏彦先生の近未来SF小説 京極夏彦先生が「ライトノベルズ」を書くとこうなるという納得のシリーズです(笑)