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Miyakawa Blog

ウェブディレクターが日々のことを綴るブログ

京極夏彦先生著書「邪魅の雫(じゃみのしずく)」読了

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著書名:邪魅の雫(じゃみのしずく) 著者名:京極夏彦 ジャンル:推理小説 出版社:講談社 発売年:2006年

京極夏彦先生が書かれている百鬼夜行シリーズ第9弾にあたる最新刊です(といっても4年前の作品です。次回作でるのかな?早く出して欲しいですね)。 今年の2月から京極先生の本に憑かれて、読み続けること、ようやく「邪魅の雫」までたどり着きました。

京極先生の他の作品も読みたいところですが、この本が終わったらしばらく、横溝正史先生の金田一耕助シリーズを4冊程読もうと思っています。

理由は「陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)」の作中に横溝正史という実名で、横溝正史が登場人物に関わってくるワンシーンがあったからです。 京極夏彦先生が、ワンシーンとはいえ横溝正史先生という人物を実名で京極先生の文章で登場させたからには横溝正史先生の作品の影響が京極先生の作品に多分にあるはずだと思います。 その横溝正史先生のDNAをどのように京極先生が引き継いでいるか確かめてみたくなったのです。

おっと、話がそれました、それでは「邪魅の雫」の「あらすず」「読みどころ」「編集後記」をお楽しみ下さい。

邪魅の雫」あらすじ

神奈川県警の石井警部(署長だったかな。後で確認)の下に昔の同級生という男がある相談に訪ねてきます。 「知り合いの女性が見ず知らずの男にまとわりつかれて困っているが、逮捕できないか?」という相談です。 石井警部は「残念ながら事件が起きていなので、まとわりついているだけの男を警察は何も出来ない」という返事を返します。

榎木津礼二郎に縁談を持ち掛けると、いつも相手から断れるのだが?」という相談を榎木津の親族 今出川という男が、探偵見習いの益田のもとに持ちかけます。 今出川の考えでは「良家(元華族であり、財閥の息子)の榎木津家側からの持ちかけた縁談が何度も、破談すれば疑いも生じるというもの。裏で何か邪な妨害工作など行われているのではないか?」っと。 そこで益田が知人の小説家関口を巻き込んで榎木津の身辺調査におもむくわけですが。 ちなみに榎木津は探偵見習いの益田の雇い主であり、探偵その人である。

また、あるところでは「陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず。前回の作品)」で登場した、元長野県警巡査大鷹がある女性の護衛の依頼を別の女性から受けることになります。

まったく交わりそうもない別々の物語がある「雫」を元に幾重にも重なり合い、悲しい物語へと転生していきます。

読みどころ

探偵見習いの益田が自分自身の雇い主の榎木津礼二郎を取り巻く怪しい空気(縁談がなぜか途切れる)を調査する下りでは、小説家の関口巽が旅のお供となっています。

益田と関口の迷コンビが面白かったですね。漫才で言うと益田がボケで、関口がツッコミというところでしょうか。ただし、決してコメディ小説ではないので、そのような笑いは期待しないで下さい。 益田が物語の端々で行う推理に対して、関口が自分の言葉でいろいろ切り返していくところが面白いです(ボケとツッコミと評しましたが、決して益田くんの推理がメチャクチャな訳ではありません。詳しくは作品を読んで確かめて下さい)。 口べたで、鬱病の関口くんですが、益田に対してハッキリしゃべるところも読みどころです。当然、この2人のポジションも重要どころです。

今作品ではもう一つの読みどころとして、青木刑事を忘れてはいけません。

青木刑事も益田くんや関口くんと並んで百鬼夜行シリーズには欠かせない主要登場人物の1人ですが、今回の青木刑事は益田達とは別の事件から今回の物語に関わってくることになります。

普段の作品の中で主人公の中禅寺秋彦の事件へのアプローチ方法は必ず事件の中核ではなく、事件の外から事件を読み取り、解体して、再構築して新しい意味を見いだし、事件を落とします。中禅寺は決して事件の中核に関わろうとはしません。 対して、青木刑事、益田、関口たちの普段の役どころは中禅寺のそれとは真逆になっています。 彼ら3人のポジションは毎回事件の内側、ともすれば事件その物のに関わり、事件の中心から事件をひも解こうとあがきます(青木は刑事ですから当然ですよね)。 ところが今回の青木刑事は中禅寺からのある事件のコアな情報を握らされ、事件の大骨格を握るある中心人物と対峙するシーンがあります。 そこには中禅寺のDNAも受け継いだ青木の姿が・・・・。このシーンはまさに見所です。 中禅寺が事件の内部に直接関わらずして、青木を通して間接的に事件に関わった名シーンだからです。

編集後記

今回、本書を読むにあたって新しく取り組んだ事があります。

それは「人物相関」と「物語の出来事」をメモしていく事でした。

百鬼夜行シリーズは一冊が1000ページを超えるモノが多く、登場人物も多いため過去に読んだ内容を忘れてしまうことがしばしば。

今回は忘れてもすぐ思い出せるように章事に登場人物の人物相関と出来事をメモ程度にまとめて読み進めて行きました。

当然、数多くの伏線が残ったまま後半へとすすで行く事は変わりありませんでしたが、伏線自体を読み落とすことがなくなり、理解度の高いまま物語を楽しむことができました。

メモしながらの読書おすすめします。

追記

青木刑事の「青木」は、硬派な木場刑事の青臭い分身という意味じゃないかなって、最近感じています。

文士関口の「関口」は、何にでも関わって口を挟むという意味かなぁ?とか、

魍魎の匣」の中で登場する技師の「甲田 録介」という男の名字も「甲田」=「匣」だったりしているので、以外と名前にもいろんな意味隠されているのかって勘ぐったりしています。 全ての登場人物名前がそうじゃないと思いますけど。